ゴルフの起源には諸説あるが、その歴史の中心が
オールドコースであることはまぎれもない事実。
「聖地」の歩みは、そのままゴルフの歴史と発展に繋がっている。
ゴルフの起源に諸説あり最古のコースも実は不明
「スコットランドはゴルフ発祥の地である」「オールドコースは世界最古のゴルフコースである」というのは、実はいずれも定かではない。起源については、スコットランドの羊飼いの遊びが起源という説以外に、オランダ説、エジプト説、中国説など諸説ある。現在のところはオランダ説が有力で、スコットランドがヨーロッパ各地と交易を盛んに行なっていた頃に海を越えて渡ってきたというものだ。ゴルフクラブについてはエディンバラ郊外のリースリンクスで誕生した組織が記録に残る最古のものとされているが、「最古のコース」については、いまだに歴史家や愛好家たちの議論の対象である。
セントアンドリュースが聖地と呼ばれる理由
セントアンドリュースが「聖地」と呼ばれる理由。それは、ゴルフを競技として確立させたこと、同時にゴルフの振興に最大限に貢献したことに対する称賛からであろう。例えば、18ホールをまわるようになったのも、ストロークプレーを定着させたのもセントアンドリュースが最初。また、地主たちのスポーツであったゴルフを庶民にも解放し、避暑の旅行者などにも積極的にゴルフを奨励するなど、常にゴルフ文化の振興にも積極的だった。これらはすべて1754年に創立されたロイヤル&エンシエントゴルフクラブ(R&A)によるもの。R&Aが「ゴルフの総本山」と呼ばれる所以である。
オールドコースが他の名門コースと異なる点
オールドコースの特殊性。それは、コースが市の管理下にあり、市民のために存在するということだろう。日曜のオールドコースを目にする機会があればきっと驚くに違いない。日曜日は一般市民に解放され、聖地は公園と化す。犬と散歩する人がいるかと思えば、プロキャディのの父親が息子にコースの攻め方を教えたり、スゥイルカン・ブリッジ上で記念写真を撮るなど、市民たちが思い思いに聖地を楽しんでいる。それは日本やアメリカの有名コースでは考えられないような光景だ。日曜の午後、クラブを持たずにコースを歩いてみる。これもまた聖地でしか味わえない楽しみ方だろう。
紳士たちを熱くしたゴルフという競技
ゴルフというスポーツはいつの時代も人を熱くする。競技として確立されたゴルフは紳士たちの間で人気を博し、熱中するあまり働かなくなったり、兵士が訓練を疎かにするようになったという。そのため、1457年のスコットランドでは当時の国王が「ゴルフ禁止令」を発令するほどだった。その後、ゴルフ人気は一般大衆へも広がり、スコットランドを語る際に欠かせない存在となった。